幸福な王子の話

pancho2008-01-21

おはようございます。お寒うございます。パンチョです。



僕はオスカー・ワイルドが好きです。みなさまの予想どおりでモリッシーの影響で読みはじめ、今では守夫は関係なくワイルド大好きです。



一番好きなのは『ドリアングレイの肖像』(読むと悪徳が芽生えるので禁書にしたほうがいい)とかウィンダミア夫人のサロン系なんかの話ですが、ホモのおっさんが牢屋の中世の中と嫌いな奴への不満をたらたらとぶちまける『獄中記』も大好きです。そんなワイルドの作品の中でも異色な『幸福な王子』です。小学校のとき道徳だか国語だかの教科書に載ってたかと思います。



忘れている人のために簡単にあらすじをざっと述べると「ある街の広場に王子様の銅像が建てられます。服とか剣とか眼など宝石やら金銀やらがふんだんに使用されたそれはそれは立派な像は、街の人から『いやあきれいな王子さまだ』と愛されます。でも王子様は悲しいのでした。街の広場の高台からは貧困や飢えに苦しむ人々の姿がよく見えます。でも銅像の王子様にはなにもできないのでした。冬も近づいたある日、南へ去り行く仲間に遅れて残っていたツバメが王子様のところで羽を休めます。すると王子様がツバメに語りかけ『貧乏人のところに宝石を届けてほしい』といいます。早く暖かい南へ行きたいツバメは断りますが『1回だけですよ』という感じで承諾します。貧乏人はもちろん喜びました。早速立ち去ろうとするツバメに王子様は『ちょっともう1回だけよろしく』とツバメに宝石を運ばせます。こうして無理強いをする王子様、断りきれないツバメの関係はつづき、貧乏人たちには宝石や金が届き、同時に王子様はボロボロになり、いよいよ本格的な冬がやってくるのでした。王子様は眼のサファイアだかダイヤもないので眼も見えません。ツバメが街の様子を教えてくれます。でもツバメは寒くてもう死にそうです。もう南へ飛ぶ力はありません。こうしてボロボロの王子様の銅像の下でツバメは息絶えます。そして街の人は王子様の銅像を見かけると『なんて汚い銅像だ』と言うようになりました。」


みたいな話です。要約と思ったけど長いです。



思ったのはこれはいい話かどうか、ということです。作品中では断るツバメをよそに半ば強引に王子様はパシらせます。かなりツバメはかわいそうな感じです。ワイルドらしい逆説や皮肉もたっぷりで、何回読んでも味わい深いのです。この話は短編童話集『幸福な王子』に収められているのですが、ほかの短編童話もかなりパンチが効いています。



なんか僕らしくない話ですが、結局何をいいたいのかというと、冬は寒いので人間も冬眠するべき、ということです。